2011年12月23日金曜日

志らく→談春の幸せなハシゴは明け烏でシメ


at 浅草公会堂 「中外製薬presents がん撲滅チャリティ 立川談春 独演会」
2011年12月23日(祝・金)

志らく→談春、と、恐ろしく幸せな梯子。
そしてその後は浅草・大黒屋さんで天ぷらをいただきながら、至福の落語/文芸談義。こんな幸せなクリスマスは無いと思った。

志らく師匠は今日のシメで、お忙しい中、談春の独演会に行かずこちらに来てくださってありがとうございました。で笑いをとってシメた。先日のピンの時(かな?)から、同じ日に独演会バッティングしていることを気にして笑いにしていたので、今日も絶対言うだろうと思ってたけれど、談春さんはどう思っているんだろう。
志らく師匠の終わってから駆けつけたので、一席目を聴けなかったため、判らずじまい。

中入り後は『明け烏』。ふふふ素敵。
ただ!!どうしたのみなさん!?志らく師匠も声の調子が悪そうで掠れていたのですが、なんと談春さんも!!
あの良い声を聴くのも、楽しみにしているのに。
落語家さんで声に惚れるのは、馬生師匠と談春さんだわやっぱり。男の艶がある。菊之丞さんのような色っぽさの話じゃないの、ダンディなセクシーさなの。まあいいやこの話は。
談志家元、降りて来てるのかなあ。降りてくるのはアタマやココロだけにして、喉には降りないでくださいよ。。。(涙)

でもね。だんだんその声の調子が気にならなくなって来る。談春さんの明け烏の世界に惹き込まれる。
やっぱり各々のキャラクターの作り込みがしっかり出来ているから、ぐいぐいとね。堅物の若旦那を、私も多助のように面倒くさく感じてくるし。
郭の女将が「お巫女頭」に成りきらされて、最初は馬鹿にしていたが、若旦那が入ってくると遊女たちに「ほらあんたたち鈴鳴らして!しゃんしゃんっ」と言ってるのが可愛かった。談春さんは、キュートなのよねえ、そういう「ちょっとした可笑しみ」の表現が。
こういうことって、“愛される芸人”の秘訣だと思います!強く思う!
キュートだ、かわいい、っていうのは、上手いってのより愛されるよね。

たっぷり50分間。素晴らしかった。連れ合いも、今まで観た明け烏の中で最高だったと。
談春さんが本調子の時は、こんなもんじゃないぞと私は思う。


【開催日時】
2011年12月23日(祝・金)15:00開演

【出演者】
立川談春

【演目】
『替り目』
『明け烏』

富久+芝浜、重たい志らくで年越し


at よみうりホール
「リビング 立川志らく独演会」
2011年12月23日(金・祝)

今年最後の志らく師匠。だって師匠は以降ハワイに行くのだもの。
似合わないよね、ハワイ。
まあそれは家元と同じことなのだろう。談志とハワイって一見全く似つかわしくないように感じるが、ハワイでの談志の奇行の逸話は、読んでるととても面白いのよね。家元が好きなハワイに、行きたいのかな師匠は。邪推。
でも本当に何するのだろう。絶対海とか興味無さそうだし、 買い物は…まあ洋服は嫌いじゃないのか、でも相当好みが限定だしなあ。奥様も無理矢理連れて回る人でも無さそうだし…。
どうでもいいですねこんなこと。とにかく、家元に会いに行く旅なのだろう、と勝手に解釈。

今日は富久と芝浜!
先日高座後にお話した時にも気合い入ってる様子だった。「最近こういう重いのばっかり」と言いつつ、「やっぱり今年の年末は特にね」的に。家元亡き後、志らく師匠には求められる役割がある、ということだと思う。
「私はイリュージョンも聴きたいです!」と本音を言ったら、年明けは年内の反動か、軽いやつばっかりで行くらしいですよ!年明けはそんなんばっかり、と言っていた。確かに独演会じゃなく「新春寄せ」的なのが多いしね。ああ、そっちに早く行きたいよ。
やっぱり私の好みは、志らく師匠においては、イリュージョンやナンセンス。
志らくは談志の狂気の部分を継いでいるとの定説だが、そういうことじゃなくて、いやそうなんだけど、 何をやらせても狂気だから良いということはもちろん無くて、反対俥とかを最高に楽しく魅せてくれる志らく師匠の腕は凄くて感動しちゃうのよね。でも包丁や芝浜は、談春がやるからいいじゃないと思っちゃう、素人の私は。

でも先日『包丁』やった日のマクラで、談志が包丁はうまくできないので本物を呼びますと言って袖から圓生師匠?を呼んだ逸話があるが、やっぱり僕も包丁は難しいのでここで本物をっつって談春兄さんを呼んだら面白いんですけど、とぶってたが、そういう意外に素直な志らく師匠が私は大好き。って、何の話をしているんだ私は!

芝浜。そーねえ。私がひとつ可愛くて好きだったのは、芝の浜で顔洗ったあと、口まで漱いだ「うぇしょっぺっ!」って。ああここでなにかやるな〜という気配あったから来タ!って感じ。
あと演出面では、酔って寝た夫を起こし妻が嘘をつき始める最初は、たどたどしく演っていたこと。当然の如く、ではなく、妻の迷い・うろたえを表現したのだと思う。普通に考えりゃーそうよね。あんなにはっきりだまくらかせる役者な女房なんぞ普通いませんよね。と言うか、その後の3年後の暮れに、辛かったの迷ったの怖かったのあなたごめんなさい、と告白して泣く、その辛さが納得感出ないよね、さらっと嘘付けてたら。
てことで、正論、な演出。
あとは小ネタで、1時間早く起こされたことに気づいた勝さんが怒って女房に悪態つく場面で、こんにゃろ家ぇ帰って殴ってやる、面倒だからここに居ながらにして殴れねえかな腕びょ〜んと伸びて。って得意のアッパーカットというか目つぶしの素振り。女房に夢だと諭された場面でも「そうだよなあ腕びょ〜んと伸びてたもんなあ」って振り返ってた。ワンピース(ルフィ)読んだのかなって思った。それだけ。どうでもいいね。

【開催日時】
2011年12月23日(金・祝)13:30開演

【出演者】
立川志らく、ミッキー・カーティス(ゲスト)

【演目】
『富久』
『芝浜』

2011年12月13日火曜日

「志らくのピン 古典落語編」中村仲蔵にノックアウト!


at 大和田伝承ホール(渋谷)
「志らくのピン 古典落語編」
2011年12月13日(火)

家元談志が亡くなった後はじめての「ピン」。何で来るかと思ったら、重い重い、包丁と中村仲蔵!
中村仲蔵!?驚いた。志らく師匠、こんなのやるんだ!へえーーーー。
仲蔵は、東劇でやった「落語研究会 昭和の名人 弐」で林家正蔵の(昭和47年の高座だそう!)を観て、出世話ぽいのに滅法面白いなあ〜さすが名人と感心した根田です。

包丁は。ご本人もたぶんまだまだと思ってると思うけど。
私にとっては、不要かなと思った。
今年、談春さんの包丁を聴いちゃってる私にとっては、志らく師匠に別に包丁をやって欲しくはない。
家元が難しいと言っている根田をやりたいのだと思うけど。志らく師匠の醍醐味は、こういう根田には宿らないと思う。勝手なファン心理。
マクラで既に、談志が自分の高座で稽古したけど難しくて出来なかったので本物を呼びますと言って圓生師匠を袖から呼んで噺をしてもらったという逸話があるので、わたしも本物をと言って談春兄さんを呼んだら面白いよね、と茶化していたが。負けを認めて茶化しそれでも挑む、そういう気概/ユーモアは志らく師匠らしいけど。けど。

が、中村仲蔵にはやられました。
素敵だった。良かった。
山賊の定九郎役の格好よさ・男前ぶりを表現する時の「ざあ〜っ」とか、舞台上で切られて口から血を流す場面とかの擬音語の表現や、その所作が、志らく師匠、格好良かった。イリュージョンでもナンセンスでもなく普通の古典を真摯にやって、オリジナルギャグを入れなくても、二枚目キャラじゃない志らく師匠がとても格好良く見える、話の良さが引き立つ、そんな、立派な高座だったと思いました。

【開催日時】
2011年12月13日(火)19:30開演

【出演者】
立川志らく

【演目】
開口一番『野ざらし』志らべ
『包丁』志らく
お仲入り
『中村仲蔵』志らく